TPPを考える

    「酪農・農業講演会in青森」開催結果報告について

  平成23年8月17日に青森県上北郡野辺地町のゆうき青森農協らくのう支所において、TPPを考える「酪農・農業講演会in青森」を開催しました。  

 本催しは、開拓営農に取り組んでいる開拓者等の資質の向上を図るため、会員の所在する都道府県において講演会を開催するもので、本年度は第1回となります。

 

 

講演は、青森県、青森県酪農協会、ゆうき青森農協、青森県開拓振興協会の後援により、

「環太平洋経済連携協定(TPP)が酪農・農業、地域経済へ与える影響」と題し、鈴木宣弘東大大学院教授によって行われました。

講演終了後は72名の参加者による活発な質疑が行われました。

   

講演では鈴木教授は、「開国」について、日本の農業の市場開放はすでに非常に高く、食料の6割を海外に依存しており、農業が自由貿易の障害となったということはないこと。

TPPによって日本経済や地域社会が受ける深刻な影響については表に出されず、農業だけの問題にすり替えられてしまっているが、実は農業だけの問題ではなく金融、保険、医療、建築などのサービス分野や公共事業、労働市場、食品の安全性から国民の健康問題など日本社会全体に影響する問題と指摘。  

 TPPは協定国の間に国境がないかのように、人やモノや企業活動が行き来できる経済圏を作ろうというのが目標。しかもたとえば米国企業が日本で活動するのに障害となるルールがあれば、米国企業が日本政府を訴えてルールを廃止させることができる条項も盛り込まれる可能性があること。

 コメ、畑作、畜産なども、ゼロ関税になれば全国の田畑は荒れ果て、有利だということで野菜や果樹への転換が進めば、価格の暴落でやはり田畑は荒れ果てる。そして加工業、輸送業、観光業、商店街の地域コミュニティが崩壊していくこと。

砂糖の関税が撤廃されて砂糖産業が崩壊すれば、南の離島に住む人はいなくなる。農林水産業は国境を防衛して領土を守っていること。

「農業のせいで国益が失われる」かのような、「農業保護VS国益」という対立の図式によってこの問題を捉えるのは、的を外れた議論と述べた。

 震災復興とTPPの問題では、東日本大震災により農地が壊滅的な被害を受けたのをみて、大規模化の好機。それをモデルにしてTPPなどの貿易自由化を推進する。自由化して世界と戦えば、日本の農業も強くなり、輸出産業になれる、といった議論が展開されているが、現場の農家がいかに経営を再建するか苦闘している最中に、現場の経営者を排除してでも新たな農漁業展開の契機にしようというのは、まず人としての心が問われること。このような大震災がなければ大規模区画にできないほどに日本の農地の規模拡大は難しく、全国のモデルになるはずはないと述べた。

 自分たちの食は自分たちが守る、食に安さだけを追求することは命を削り、次世代に負担を強いることだと述べ、日本の「強い農業」、「強い酪農」を目指した対案を示して話を結ばれた。